施設警備とは、オフィスビルや病院・マンションなどの施設に常駐して、施設の安全管理を行う仕事です。施設内に異常がないか監視したり、利用者を案内したりします。
施設警備の仕事に興味があるけれど、自分に向いている仕事なのか、具体的に何をする仕事なのかわからない方もいるでしょう。
そこで本記事では、施設警備に向いている人・向いてない人の特徴を紹介します。施設警備の仕事を始めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
施設警備は施設の安全を守る仕事
施設警備は、オフィスビルやマンション・病院などの大規模な施設に常駐し、防犯・防災の役割を担う仕事です。警備業法で区分された1号〜4号警備のうち、施設警備は1号警備に該当します。
主な業務内容は、施設内の巡回警備や施錠管理などです。施設内の安全を守るだけでなく、施設警備員の存在をアピールすることで犯罪を未然に防ぐ効果もあります。
施設警備の仕事について詳しく知りたい方は、関連記事もチェックしてみてください。
施設警備に向いているのはこんな人
施設警備員の仕事を始めたい方は、ご自身が警備の仕事に適性があるか気になるでしょう。そこで、施設警備に向いている人の特徴を5つリストアップしました。
- 責任感・正義感が強い
- 集中力がある
- 一定の体力がある
- 長時間の拘束に耐えられる
- 最低限のコミュニケーション能力がある
責任感・正義感が強い
周囲の人を守る気持ちが強く、責任感を持って業務に臨める人は、施設警備員に向いています。施設警備は施設と利用者を守る仕事なので、責任感・正義感が強い人に最適です。
施設内で不審者・不審物をいち早く発見し、対処した場合は、大きな事故を未然に防げます。さらに、周囲から評価や感謝をされることで、より大きなやりがいを持てるでしょう。
集中力がある
施設警備の業務には、集中力も必要です。非常事態に備えて巡回・監視を行う警備員の仕事は、ルール通りの手順で行われるため、慣れるとルーティンワークのように感じられます。
拘束時間が長くなると、集中力が切れやすくなるでしょう。
命に関わる非常事態の際「集中力が切れて動けなかった」では済まされないので、非常事態に素早く動くためには、忍耐強く待機しなければなりません。長時間集中し続けられる人は、警備員としての適性があります。
一定の体力がある
警備業務は長時間立つ仕事であるため、一定の体力が求められます。しかし、武道や護身術といった技術や強い腕力が求められる仕事ではないため、ミドル・シニア世代でも就業が可能です。
また、近年は立って監視する「立哨(りっしょう)」に代わって、座りながら警備を行う「座哨(ざしょう)」業務も増えています。過酷な環境での立哨は少ないうえ、就業時間内に休憩も取れるため、身体的な負担は想像よりも少ない仕事です。
長時間の拘束に耐えられる
24時間体制で警備を行う施設では、複数人で交代しながら勤務するため、拘束時間が長くなります。24時間体制の場合、16時間働いてトータルで8時間休むといった特殊な働き方もあるため、勤務と休憩のメリハリをつけられる方向きです。
休憩時間中は、施設内の仮眠室・警備室に滞在することになります。場所を選ばずに睡眠を取れる方や、長時間拘束が苦にならない方も、施設警備員向きです。
24時間体制の警備について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
最低限のコミュニケーション能力がある
施設警備の仕事には、コミュニケーション能力も必要です。施設警備員は、施設に訪れた利用者に質問をされたり、道を尋ねられたりする機会もあります。利用者に対しては、丁寧で聞き取りやすい話し方を意識して、優しい態度で接することが大切です。
施設警備員は、利用者が施設に訪れる際、最初に接する人物になるケースもあります。警備員の印象で施設全体のイメージが決まるため、利用者には思いやりを持って接しましょう。
施設警備に向いていない人の特徴3選
施設警備に向かない人の特徴は、次のとおりです。
- ルールを守れない
- 夜勤に耐性がない
- 暇な時間が苦手である
警備員のメリット・デメリットを詳しく知りたい方は、こちらの記事も要チェック!
ルールを守れない
施設警備の仕事には、依頼主と警備会社で決めたルールが設けられています。警備の質を保ち、トラブルを起こさないためにも、ルールの暗記・遵守は必須です。
ルールを守らない警備員がいると、依頼主・警備会社の双方に迷惑がかかります。ルールを覚えられない・守れない方は、警備員には向かないでしょう。
また、警備会社は警察の査察を受けたり、社員の行動を報告したりする場合もあります。不祥事が発覚すれば問題になるため、警備員はルール違反をしないことが大切です。
夜勤に耐性がない
24時間体制で施設警備を行う場合は、夜勤が避けられません。規則正しい生活を送りたい人にとって、施設警備の仕事は負担でしょう。
夜勤中に休憩を取る場合は、施設内の警備室(仮眠室)で休みます。不慣れな場所では寝付けない方や、神経質な人にとっては、うまく休めないこともあるでしょう。どうしても夜勤を避けたい場合は、日勤のみの求人を探すのもおすすめです。
暇な時間が苦手である
施設警備の仕事は、非常事態を未然に防ぎ、何も起きない時間を維持することです。逆に言えば、警備員にとって暇な時間が増えるため、何かしていないと落ち着かない方には向きません。
また、夜勤の場合でも、巡回が終われば時間が過ぎるのを待つことになります。退屈な時間を潰せない方には、施設警備の仕事は苦痛になるでしょう。
施設警備員の仕事内容4つ
施設警備の仕事内容は、大きく4つに分けられます。
- 巡回・保安
- 立哨(座哨)
- 出入管理
- 監視
巡回・保安
巡回・保安業務とは、一言で表すとパトロールのことです。警備会社と依頼者の間で決められた計画に従い、ルールで規定された回数や時間に合わせて経路を巡回します。異常時に素早く対応するためにも、巡回や保安は、昼間・夜間を問わず必要な業務です。
巡回の目的は、大きく3つあります。
- 防犯
- 防災
- 施設管理
「防犯」は不審者・車両の対応、「防災」は火災・水漏れなどの対応や非常用設備のチェックを行う業務です。「施設管理」では破損や施錠漏れがないかチェックし、異常があれば対応を行います。
立哨
立哨(りっしょう)業務は、施設の入口に立ち、不審者や不審車両がいないか監視する業務です。立ち続けることが犯罪の抑止力になるため、複数人が30分〜1時間で交代しながら常に監視を続けます。
また、利用者への対応も行うため、施設の印象を決めるポジションでもあります。利用者に挨拶したり、質問に答えたりするケースもあるでしょう。高いコミュニケーション能力や立ち仕事の経験があると、立哨の警備に活かせます。
座哨警備を取り入れる企業も増えつつある
近年では、立哨のほかに、座りながら監視を行う「座哨(ざしょう)」を導入する警備会社も増えてきました。座哨は足腰の負担を軽減し、監視に集中できるため、体力面に不安のある方でも警備員になれる可能性があります。
実際、株式会社マイナビが行った調査によると、利用者の8割近くは「座っての接客が気にならない」との結果が出ました。(※)少子高齢化により、シニア層がスタッフを務めるケースも増えたゆえの変化だと考えられます。
座哨を推進する警備会社「ウェブノ株式会社」については、別記事で特集しています。体力に自信のない方、女性の方は、ぜひチェックしてみてください。
(※)参考:株式会社マイナビ「ニュースリリース」
出入管理
施設を訪れる人や車両を監視し、入退出を管理する業務が「出入管理」です。不審者・不審車両の侵入によるトラブルを未然に防ぎ、非常事態が起こってもスムーズに対処できるよう、施設の出入口で人や車両をチェックします。
入館者の受付やアポイントメントの有無を確認するなど、業務内容はさまざまです。出入管理は人と接する機会が多い仕事であるため、コミュニケーション能力が身に付く業務といえます。
監視
監視業務は、施設内を監視し、施設内や周辺の安全管理を行う仕事です。警備員の巡回による監視だけでなく、施設内の監視カメラ映像をチェックする業務も監視に含まれます。
防犯カメラのチェックは、映像機器に関する知識が必要です。また、非常事態が起こった際は現場に急行し、適切な対応を取るための訓練も欠かせません。
カメラ映像の小さな違和感から異常を見つけ出す洞察力や、臨機応変に対応する能力が求められます。
施設警備員に資格は必須ではない!
施設警備員への就職にあたって、資格取得は求められません。体力や集中力、規範意識のある方なら警備員の仕事を続けられるでしょう。しかし、従事できる業務の幅を増やしたい場合は、次のような資格が必要になります。
資格名称 | 資格の内容 |
施設警備業務検定 | 施設警備の専門的技術・知識を証明する |
防災センター要員講習・自衛消防業務講習 | 消防用設備の監視・操作に従事できる |
普通救命講習・上級救命講習 | 心肺蘇生法や気道異物除去など、救命技術が習得できる |
警備業務に資格が必須とされるケースは少なく、取得も任意です。しかし、昇給や昇進を狙う場合は必要といえます。
20時間の「新任教育」が必要
警備員として働くには「新任教育」を受けなければなりません。警備会社は、自社の警備員に対し業務を適正に実施させる教育が義務付けられているため、すべての警備員は新任教育を受けることになります。
初めて警備員になる場合は、警備の基礎知識を学ぶため20時間以上の新任教育が必須です。現職の警備員も、年度ごとに「現任教育」を10時間受けます。ただし、資格を取得している場合は、教育が免除・短縮となる可能性もあります。
施設警備員の給与
施設警備員の給与や労働時間は、次のとおりです。
男女合計 | 男性 | 女性 | |
年齢(歳) | 51.6 | 52.3 | 40.6 |
所定内労働時間数(時間) | 169 | 169 | 168 |
きまって支給する現金給与額(千円) | 279.8 | 282.4 | 241.2 |
※独立行政法人統計センター「令和5年賃金構造基本統計調査」を参考に筆者作成
警備員の給与には、年齢による差がほとんどありません。年功序列式ではないため、若手やシニアでも一定の給与を得られるでしょう。ただし、給与額は警備会社の規模に左右される傾向があり、事業規模の大きい会社ほど給与額は大きい傾向にあります。
警備員の給与を上げる方法は3つある
施設警備員が給与を上げる方法は、次の3つです。
- 警備業務検定や施設警備業務検定を取る
- 正社員になる
- 今よりも規模の大きい企業に転職する
もっとも簡単な方法は、資格の取得です。「警備業務検定」や「施設警備業務検定」は18歳以上から受験できる資格で、警備員の専門知識や技術を持っていることの証明になります。
また、正規雇用の正社員になればボーナスをもらえます。月々の給与と合わせれば、結果的に年収アップが可能です。
転職で給与を上げたいなら、今よりも規模の大きい警備会社を視野に入れましょう。
事業所の規模 | 決まって支給する現金給与(千円) |
1,000人以上 | 333 |
10~99人 | 233.3 |
※独立行政法人統計センター「令和5年賃金構造基本統計調査」を参考に筆者作成
従業員が99人以下の会社に比べ、1,000人以上いる警備会社では、月々の支給額が10万円ほど高い傾向にあります。
警備業で給与アップを狙うときは、資格の取得・雇用形態・会社の規模にこだわるのがおすすめです。
施設警備の転職に成功する2つのコツ
施設警備の仕事に応募した方向けに、面接で受かるコツを紹介します。
- 警備業への適性をアピールする
- 警備に役立つ資格を取得する
警備業への適性をアピールする
施設警備の面接では、警備業に適した人材であることを徹底的にアピールしましょう。警備会社側の面接官は、履歴書や面接での質疑応答・態度などを見て、施設警備員にふさわしいかを判断しています。
警備業界の経験がない場合は、体力・コミュニケーション能力の高さを伝えるのがおすすめです。また、立ち仕事や夜勤の経験なども、重要なアピールポイントになります。加えて、施設警備の仕事に意欲・モチベーションがある点も、忘れずに伝えましょう。
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警備に役立つ資格を取得する
警備会社に就職する可能性を上げたい場合は、警備関係の資格を先に取得しておく方法もあります。施設警備に特別な資格は必要ありませんが、資格を取得しておくと書類審査で有利になるでしょう。
資格を取得すれば手当が付いて給与を上げられます。ただし、資格の受講料金は、入社したあとに受講する場合より高くなる点に注意しましょう。
警備員の仕事に役立つ資格を知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。
施設警備員に向いていると感じたら転職活動を始めよう!
施設警備とは、施設の安全を守り、トラブルを未然に防ぐ仕事です。施設と利用者を守る役割を担っているため、責任感や集中力、コミュニケーション能力がある方に向いています。逆に、ルールを守れない方・長時間拘束が苦手な方には向かないでしょう。
施設警備員への転職を成功させるには、警備員としての適性をアピールすることが大切です。もし自分が施設警備員に向いていると感じたら、警備求人情報が豊富な『ケイサーチ!』で転職活動を始めてみてはいかがでしょうか?