警備員の求人を見ていると、見かけることのある「守衛」という表記。
どちらも意味は同じだろうと思っていませんか?
実は雇用先や警備業法に関することなど、細かな部分で変わってくるのです。
この記事では、守衛と警備員の違いや、その特徴について解説していきます。
目次
守衛の仕事とは?
守衛とは、商業施設やオフィスビル、学校などの警備を担当する人たちのことを指します。業務内容は施設内の巡回や受付など、施設の安全を守るのが主な仕事となります。
おそらく、ここまで聞いていると「それって施設警備員じゃん」と思う人が大半なのではないでしょうか?
確かに仕事内容こそ施設警備員そのものですが、決定的な違いがいくつかあります。
順を追ってみていきましょう!
雇用主が違う
まず1つ目は、雇われている先が違うという点です。
【警備員の場合…】
施設から警備の依頼を受けた警備会社が、各施設に警備員を派遣します。
警備員はその警備会社に所属しながら働くことになるので、給与の支払い、業務上の指示などはその警備会社が行う形になります。
【守衛の場合…】
施設や土地建物の管理者が、直々に雇用をしています。
そのため、給与の支払い、業務上の指示などは管理者が行う形となります。
例を簡単に申し上げると、オフィスビルの管理会社(※管理者を指す)が警備スタッフを雇った場合は、守衛という扱いが正しいということになります。
法律の適用の違い
守衛が警備員と違うのは、法律(警備業法)の規制がないという部分です。
これは違いの中でも大きなポイントなのではないでしょうか。
そもそも警備業法とは?
警備業法とは、警備業を行う上で適用される法律であり、正式な文章だと「この法律は、警備業について必要な規制を定め、もつて警備業務の実施の適正を図ることを目的とする。」とあります。
凄く簡単に言えば、警備員が守るルールをまとめたもので、このルールを守って業務を行う必要があります。
ですが、「仕事内容は警備業そのものなのに、なぜ警備業法が適用されないのだろう?」と思った人も多くいると思います。
それでは、なぜ警備業ではないのかを見ていきましょう。
警備業の定義
人命や財産を守るというのが警備の業務です。
また、警備業法で定義されている警備業務には「他人の需要に応じて行うものをいう。」という部分があります。
この「他人」というのは、個人だけでなく会社なども当てはまります。
そして、その会社は所有するオフィスビルや施設の安全を守りたいので、警備の専門会社を使用して守る、これが「需要」に当たります。
対して守衛は…
守衛は管理者が雇用をしている形となるため、会社の保安・警備部署などの人間が、施設の安全を守る業務を行います。
自社の社員で警備業務の全てが完結するため、警備業法の「他人の需要に応じて行うもの」には該当しないということになります。
例えば、オフィスビルの管理会社であるA社が、そのビルの出入り口に警備スタッフを配置するとしましょう。
それを自社で募集・雇う・教育をする場合、他人の需要とは一切関係ないため、警備員ではなく守衛となるわけです。
どんな規制がないの?
警備業法には様々な規定があるため、細かい部分を言えばかなり変わってきます。
その中でも大きなものは、服装や持ち物、警備員になれるか否かを定める欠格事由でしょう。
●服装
警備員は、内閣府令で定める公務員の法令に基づいて定められた制服と、色、型式又は標章により、明確に識別することができる服装でなければなりません。
また、警備を行うエリア(都道府県)を管轄する公安委員会に、「こんな制服にします」といった届け出を提出する手続きも必要です。
基本的には警備会社が貸与する制服を着る形となりますが、守衛の場合は、管理者からの指定などがなければ服装は自由です。
しかし、決まり上は問題ないとしても、その場所に適した服装で警備をすることは必要でしょう。
●持ち物
こちらも法律によって定められており、公安委員会に携帯する持ち物を届け出る必要があります。
警備員の護身用の道具として有名な警棒も、必要と認められなければ持つことはできない上、長さや重さのルールもあるなど、護身できれば何でもいいという訳ではありません。
守衛の場合は、この規定に引っかからないため、法律違反になるような物でなければ、基本的に何でも持てます。
ですが、管理者の方からある程度指定はあると思われるので、最低限の護身ができる持ち物に限られるでしょう。
●欠格事由
警備員になるための資格を有しているかを定めた物です。
例えば、18歳未満、アルコールや薬物の中毒者、直近5年以内に警備業法に違反した人などが該当します。
守衛はこの欠格事由が適用されないため、なろうと思えば誰でもなれるということです。
しかし、管理者もこの点においては細心の注意を払って面接を行いますし、自社から選任する場合があるので、“本当に誰でもなれるのか”というと少し語弊があると言えます。
研修の義務
警備員には法定研修という警備業法で定められた研修があり、新任者の場合、20時間以上の研修を受けてからでないと警備員として勤務ができません。
また、警備員になってからも年度ごとに10時間の現任研修が定められており、法律の改正や知識の向上に向き合う必要があります。
守衛の場合は警備業に当てはまらないので、法で定められた研修を受ける必要はなく、すぐに働くことが可能です。
ただ管理者次第では、独自の研修を行うこともあるため、働く前にある程度の知識や心得を学んでおくべきでしょう。
服装 |
持ち物 |
欠格事由 |
研修 |
|
警備員 |
支給された制服 |
決められた物しか持てない |
警備業法に違反した者はなれない |
法定研修がある |
守衛 |
自由 |
法に触れる物でなければ何でもOK |
基本的に誰でもなれる |
ない |
安定性にも違いがある?
雇用主や法律などで違いがあることが分かりましたが、その他の部分ではどのような違いがあるのでしょうか?
それは、会社の事業として、どこに“重きを置いているか”です。
改めて所属先をおさらいすると、警備員は警備会社、守衛は施設の管理会社(保有者など)となります。
警備会社の主な目的は、警備員を施設に派遣して、安心・安全に過ごせるよう導くことなので、事業のメインは警備業ということになります。
警備に需要のある現在の社会情勢であれば安定していると言えますが、今後、技術の発達などで色々な会社が警備システムを簡単に入れられるようになれば、警備一本で経営している会社は不安定な状況に追い込まれるかもしれません。
一方、守衛は、施設を警備するという目的こそ同じですが、警備業は管理会社にとってあくまで施設を守るための策であり、メインの事業は違う場合があります。
警備会社とは違い他の事業に軸があるため、その業界が安定していれば、守衛の仕事には響かないと言えるでしょう。
しかし、こちらも警備システムが簡単に入れられるようになってしまえば、守衛の仕事が減少しますので、事業の安定性はあっても、職業自体の安定性はあまりないとも言えるでしょう。
守衛と警備員で見分け方はある?
ここまで守衛と警備員の違いを解説してきましたが、求人で見たときにハッキリとした違いなどはあるのでしょうか?
結論から述べると、「ない」と言えます。
というのも、施設・個人側が警備会社に警備をお願いすることが多く、出ている求人は圧倒的に「警備員」が多いためです。
中には「守衛」と書かれているものもありますが、実際には仕事内容のことを「守衛」と指しており、形態的には警備員であることが多いです。
また、守衛の言葉の意味は「建築物などの警備をし、人の出入りを監視する職務の人」とあるので、たしかに守衛と表記してしまうのも頷けますね。
正確に掘り下げていけば、確かに違いのある「守衛」と「警備員」。
しかし、施設を守り、安全を提供するという目的は変わりません。
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