「職場にある監視カメラの位置や角度は正しい?」
「自分が住むマンションのフェンスの高さは適切なのか?」
「今乗っているエレベーターに強盗が乗ってくるかも…」
こんなことを常に考えながら生活している人は、あまりいないのではないでしょうか?皆さんが普段当たり前に利用しているデパートやマンション、オフィスビルなどの施設には、必ず防犯設備が備わっており、それらの提案や設計、管理を行うのが防犯設備士です。
今回は、防犯設備士がどんな資格・仕事なのか、取得方法や注意点、取得のメリットなどを解説します!
この記事はこんな人におススメです。
- 防犯や設備管理関連の資格を取ろうと考えている
- 施設警備員としてステップアップできる方法を探している
目次
防犯設備士ってどんな資格?どんな仕事?
防犯設備士は、公益社団法人 日本防犯設備協会が認定する民間資格の1つです。セキュリティの基礎や、監視カメラ・インターホンなどの設備機器、施工・維持管理の知識と技術を持つ方、またその方々が有する資格を指します。
資格が認定された当初は防犯設備の設計や施工関連の知識のみが問われていましたが、時代の流れや巧妙化する犯罪の手口に対抗するため、昨今では振込み詐欺やサイバー犯罪などの幅広い知識も必要とされています。
犯罪を未然に防ぐシステム、地域全体で防犯意識を持ってもらうための取り組み、従業員への負担が少ない万引き対策などを、一般企業や自治体、警察機関と協力して構築していきます。
警備員が防犯設備士をとるメリットは?
警備員の中でも、施設の巡回やカメラ監視などを行う施設警備員におススメの資格です。
施設警備員の主な仕事として、施設の巡回、利用者や業者の出入管理、防災センターでの監視カメラチェックなどが挙げられます。施設での犯罪や事故を予防するという目的は、施設警備員も防犯設備士も同じと言えるでしょう。
防犯設備士を取得することで重要な業務を任されるようになり、キャリアアップを目指すこともできるはずです。警備業で施設管理の経験を積んでいきたいと考えている方は、取得を目指してみてください。
防犯設備士以外にも、警備員3点セットや防火管理者など、施設警備に関連する資格はいくつかあります。
↓警備員が取るべき資格についてはコチラ!↓
防犯設備士の取得方法・費用など
防犯設備士を取得するためには、オンライン講習動画を受講し、テストセンターで実施される試験に合格する必要があります。
防犯設備士の受験資格
受講・受験はインターネットからの申込になります。受講の案内がメールで届くので、必ずメールアドレスを用意してください。※FAXからの申し込みはできません。
また、以下の欠落事由に当てはまる方は、受講・受験が認められませんのでご注意ください!
- 禁錮刑以上の刑に処せられ、執行後3年が経っていない人
- 破産手続き開始を受け、復権を得ない人
- 暴力団員、または暴力団を辞めてから5年が経っていない人
- アルコールや大麻、あへん、覚せい剤などの中毒者
受講・受験にかかる費用
検定料は受講者によって変動があります。
- 日本防犯設備協会の会員
受験料11,000円+受講料27,500円=38,500円 - 日本防犯設備協会の会員以外
受験料11,000円+受講料33,000円=44,000円 - 学生
受験料5,500円+受講料16,500円=22,000円
不合格や欠席だった方は11,000円で再受験が可能ですが、2年以内で2回までの制限があります。また、受講者は公式の問題集(2,200円)を購入することが可能です。
試験に合格した方は、持ち運び用の資格者証と掲示用の証書が取得可能になります。資格者証は合格者全員必須で5,500円、証書は希望者のみ3,300円の交付手数料がかかります。
防犯設備士取得までの流れ
防犯設備士取得までの流れを簡単に説明します。
- 日本防犯設備協会のHPで、受講の申し込みができます。申し込み期間以外では申請ができないので注意してください。
- 登録した住所宛てに、協会から受講・受験申請書が送られてきます。誤りが無いかを確認し、写真を貼りつけて検定料振込明細のコピーなどの必要書類と併せて返送してください。
- 申し込みが完了した方には、協会から防犯設備士のテキストと資料が送付されます。このテキストから試験問題が出題されます。オンライン講習はテキストの重要部分をより深く解説してくれるもので、期間中なら何回でも視聴が可能です。
再試験の方には送付されないので、捨てないように注意してください! - 登録したアドレスに、受験用マイページのURLとIDパスワードが送られてきます。このマイページにログインすることで、試験会場を予約することができます。会場は全国に約300拠点以上あり、一度予約したあと試験会場を変更したい場合、試験3日前であれば変更が可能です。予約は先着順なので、希望の会場で受験できない場合もあります。なるべく早めに予約しておきましょう。
また、マイページでは当日の持ち物なども確認できます。必ず目を通しておきましょう。 - 試験の結果は、試験期間終了から3週間ほどで郵送で送られます。試験に合格しただけでは、資格を取得したことなりません。合格された方は資格者証を忘れずに申請してください。
防犯設備士の試験内容は?
- 防犯の基礎
- 電気の基礎
- 警報装置、防犯カメラ、インターホンなどの設備機器
- 設備設計
- 施行・維持管理
試験は選択式で、用語の穴埋めや正誤問題が出題されます。試験範囲は協会から送られるテキストの内容のみです。時間は110分で、試験会場のパソコンで解答を選択していきます。
公式の発表はありませんが、合格率は70%ほどと言われています。
取得を目指す方はここに注意!
- インターネット環境と機材が必要
講習の動画は、オンライン上での配信になります。Wi-Fiなどの無線LANやインターネット回線、動画を見るための機材が必要です。スマートフォンだと画面が小さく資料が見えづらいので、パソコンやタブレットをご用意ください。
どうしてもインターネット環境が準備できない場合は、5,400円でDVDの購入が可能です。詳細は日本防犯設備協会にお問合せ下さい。
- 試験範囲は広めで覚えることが多い
防犯関連の技術的な内容が詳細に記載されているため、防犯設備士のテキストや問題集は市販されておりません。日本防犯設備協会から教科書と資料が送られてくるので、読み込んで暗記しましょう。講習の動画と教科書を繰り返し見ることで、知識がより深まります。
- 教科書を読むだけじゃなく、問題も解こう!
【受講・受験にかかる費用】でも紹介しましたが、受講者は試験問題集を購入することができます。前年度の試験で実際に出た問題などがまとめられているので、ぜひ活用してください!
社会人になってから、久しぶりに試験を受ける方も多いのではないでしょうか。実際に家で時間を計って問題を解いてみると、時間配分の感覚がつかめてくるはずです。
- 資格の更新を忘れずに!
資格を取得してそこで終わりにするのは勿体ないですよね。防犯設備士は3年毎の資格更新が推奨されています。防犯関連の最新情報を入手できますし、セミナーを受講することで、より知識が定着するはずです。常に勉強を怠らないことで、顧客からの信頼も厚くなります。
更新を行った方の資格は、防犯設備士(優良)にレベルアップします。
資格を取得したら、次のステップは【総合防犯設備士】
総合防犯設備士は、防犯設備士の上位資格と言われています。防犯設備の施工・維持管理に加え、監査やコンサル、防犯設備士の教育に携わることもあるため、より広く深い知識と柔軟な判断力が必要です。
資格取得のためには一次試験と二次試験を受ける必要があり、一次は筆記試験か講習受講のどちらかを選択します。
総合防犯設備士の資格取得の流れ
筆記試験を選んだ場合
一次に筆記試験を選んだ場合、以下の条件に達していることが必須となります。
- 防犯設備士の資格を取得し、3年以上の実務経験を積んでいる
- 3年以内に資格を更新し、「防犯設備士(優良)」となっている
11,000円の受験料の他に、年4回の受験セミナーに11,000円かかります。こちらは受験料と別途で申し込みが必要になりますのでご注意ください。一次の筆記は記述式で、二次は面接官3人との面接になります。
区分 | 試験内容 | 出題数 | 時間 |
A(必須) | ・セキュリティ概論 ・防犯設備の構築 ・防犯設備の監査 ・防犯関連知識 | 全10問 | 90分 |
B(選択) | ・機器関連 ・施工関連 ・警備関連 ・設計関連 | 全2問 (左記から選択) | 60分 |
C(必須) | ・セキュリティ概論 ・防犯設備の構築 ・防犯設備の監査 | 全3問 | 150分 |
一次では、A、B、Cともに記述式で60%以上の点数をとることが合格ラインになります。
二次では、総合防犯設備士として有するべき知識、実務経験、法令厳守などの倫理性を問われます。
講習を選んだ場合
一次に講習受講を選んだ場合、以下の条件に達していることが必須となります。
- 防犯設備士の資格を取得し、6年以上の実務経験を積んでいる
- 3年以内に資格を更新し、「防犯設備士(優良)」となっている
- 関係機関から表彰を受賞している
- 当年度の受験セミナーを受講している
これらの条件に達しているうえで日本防犯設備協会や地域協力会長などから推薦を受け、書類審査に合格した方が対象になります。
11,000円の受験料の他に、年4回の受験セミナーに11,000円、テキスト代として10,200円がかかります。
最初に書類審査で、上記の条件を満たしているかを確認されます。また、A4用紙2~4枚ほどの事前レポートの提出が必要です。一次で以下の講習を受けた後、確認のテストが行われます。
- セキュリティ概論
- 犯罪情勢と防犯対策
- 防犯設備の設計
- 防犯監査
二次の面接では、事前レポートを参考に、総合防犯設備士として有するべき知識、実務経験、法令厳守などの倫理性を問われます。一次の確認テストと二次面接の内容を総合的に判断し、合否が決定します。
防犯設備士は、みんなに安心をお届けする資格・仕事です!
防犯設備士は、公益社団法人 日本防犯設備協会が認定している民間の資格です。この資格を取得することで、セキュリティの基本や防犯設備、維持管理の仕事に携わることができます。
防犯設備士を取得するには、1年に4回実施される試験に合格し、資格者証を申請する必要があります。試験前にはオンラインで講習動画を視聴し、協会から配布されるテキストと資料を読み込みましょう。試験は110分の選択式で、出題範囲は協会のテキストのみです。テキストと動画だけでなく、別途で購入できる試験問題集を解くことをおススメします。
施設警備員が防犯設備士を取得することで、より重要な案件を任されたり、経験を積んでキャリアアップを目指すこともできます。
もちろん、資格が無くても働ける施設警備のお仕事は沢山あります!未経験からでも働いてみて、「もっとスキルアップしたい!」「意欲が認められて会社に資格を勧められた」という方は、ぜひ挑戦してみてください。