皆さんは「住み込みの仕事」と聞いて、どんなイメージを抱きますか?
「期間工」「ホテルスタッフ」「リゾートバイト」などの仕事が思いついたのではないでしょうか?
中には、「自然の中で仕事ができる」「貯金ができそう」などの“ポジティブ”なイメージもあれば、 「家賃かからない分仕事が大変そう」「人間関係に疲れそう」など“ネガティブ”なイメージを持った方もいると思います。
この記事では、住み込みが多い職種や寮・社宅のタイプ、メリット・デメリット、給料などを詳しくご紹介します。
目次
住み込みの仕事って何がある?
「住み込み」の待遇がある職種とは、どんなものがあるのでしょうか?
代表的なものをご紹介します。
1.期間工
寮付きの仕事といえば、有名なのは「期間工」です。
期間工とは、自動車工場などで働く契約期間の定められている従業員のことです。
車や製品を作るための「部品の組み立て」「機械の操作」「不良がないかの検査作業」など、誰でもできる単純作業が多い上に、短期間で高収入を得ることができます。
2.農家
農家の主な仕事内容は、「野菜・米・果物の栽培」や「観葉植物の栽培」です。
育てる作物には“旬”があり、どれも収穫時期が存在します。
この収穫時期を逃して出荷が遅れてしまうと、その作物の年間売り上げに直結するため、農家としては収穫時期の短期間にたくさんの人手が欲しいわけです。
そのため、雇用形態は短期アルバイトや派遣社員が多い傾向にあり、基本的にアルバイトが行う作業は、収穫物を箱に詰めてトラックに載せる簡単作業の繰り返しとなります。
3.ホテルスタッフ、旅館
ホテル・旅館の求人に住み込みの待遇が多い理由としては、勤務地が都市部から離れていることが多く、通勤に時間がかかることが関係しています。
仕事内容は多岐にわたりますが、ひとことで言えば「接客」です。
どのポジションでも基本“お客様をおもてなしする”ということが軸なので、コミュニケーションスキルとホスピタリティが常に必要となってきます。
4.リゾートバイト
その名の通り、実際にリゾート地に行ってバイトをするので、泊まり込み前提の仕事となります。
職種は「接客」「裏方」「アクティビティ・アウトドア系」など様々ありますが、基本的にはどの職種も繁忙期に働いてもらうため、期間は数週間~3ヶ月という短期間となります。
また、臨時職員として雇用され、仕事の範囲も限られているため、専門的な知識や資格はほとんど必要ありません。
5.警備員
警備員も「寮完備」の待遇が多い職種です。
警備員は夜勤がある場合が多いので、生活スタイルが“夜型”になってしまい、一般の方たちとリズムが合わないことがあります。
通常の物件に住んでいると、出退勤のタイミングで住居人と騒音トラブルになってしまうなどの可能性もあるため、警備会社は寮や社宅を用意している場合が多いのです。
また、寮を用意できる警備会社は経営状況が比較的安定しているため、給与の面でも安定しており、長期的に働くことができます。
寮・社宅には様々なタイプがある
建物は「自社寮」「借り上げ社宅」と大きく分けて2つあり、企業によって保有方法は変わってきます。
自社寮
自社寮は会社が保有している建物で、家具・家電等があらかじめ設置されているため、初期費用をかけることなくすぐに利用できます。
その中でも、未婚の社員が住む「独身寮」、単身赴任の際の住居となる「単身赴任寮」、アパートなどを1棟丸ごと所有する「共有社宅」が自社寮にあたり、個人が置かれている状況で該当する物件が変わります。
共通点としては、面倒とされる書類手続き等を会社が負担してくれるという点と、所在地が決まっているという点です。
借り上げ社宅
借り上げ社宅は「寮」という括りからは少し離れます。
具体的に言うと、企業が不動産業者から賃貸物件を借り入れて社員に貸し出す制度で、家賃の一部を社宅使用料として企業が負担するため、物件自体は不動産業者の保有物となります。
また、場所は「勤務地から数km圏内」などの規定がある場合が多いですが、その範囲内ならば個人の自由で物件を選ぶことができるので、考え方としては「手厚い住宅手当」という方が近いかもしれません。
住み込みで働くメリット・デメリット
それでは実際、寮や社宅に住み込みで働くと、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
メリット
・出費が抑えられる
寮・社宅は家賃が格安なため、日々のコストを抑えられる点は魅力的な待遇です。勤務先によっては家賃無料の場合もあるので、大幅な出費削減ができ、日々の生活に余裕を生むことができます。
また、用意される物件は家具家電付きが多いため、住むのに必要なものを揃える費用がいらない上、引っ越し代もかかりません。
そのため、「自分が買ったものを使いたい」などのこだわりがなければ、初期費用0円も可能というわけです
・会社と近い距離にある
寮や社宅は、会社や勤務地に近い立地に建てられていることが多いため、朝は遅くまで寝られる上、退勤後はすぐに帰れるので、趣味や勉強などプライベートなことに時間が割くことができます。
また、列車の遅延や道路の渋滞に巻き込まれることもないので、通勤のストレスがかかりません。
・寮に住む人達との絆が生まれる
寮で一緒に住んでいる人たちとプライベートな時間をともにすることで、仕事でも円滑にコミュニケーションがとれるようになります。
仕事の相談や悩んでいることを話せる人が身近にいるというのは、精神面での安定にもつながり、それは仕事を行う上でも大切な要素の1つとなります。
また、新入社員は社会に出たばかりで不安を感じやすく、同じ境遇の人と悩みを共有できる環境はメンタル面で安心を与えるでしょう。
デメリット
・必ず新築に住めるわけではない
中には築年数がだいぶ経っている寮もあるため、内装が汚く「住むのはちょっと…」と思う物件も中にはあります。
また、骨組みが経年劣化しているため、安全面での不安を感じることも…。
特にシャワーやトイレなどの水回りの老朽化が進んでいると、生活に影響が出てくるのでできれば避けたいところです。
全ての物件が古いわけではありませんが、家賃が格安なため、ある程度の妥協は必要になってくるでしょう。
・1人の時間の確保が難しい
寮に帰ると同僚や先輩がいるため、オンとオフの切り替えが難しく、気持ちがあまり休まらない点はデメリットです。
身近に知り合いがいるという心強さもありますが、生活の中で1人の時間がほしいときもあり、そういう場面では1人になれない“息苦しさ”を感じるでしょう。
・退職と同時に家もなくなる
勤務をすることで寮に住めるので、仕事を辞めたら寮から退去しないといけません。
基本的には即日退去ということはなく、一定期間の猶予が与えられますが、それでも1~2週間で退去しなければいけない場合が多いとされています。
厳密に言えば、仕事も住まいも同時に失うことになるため、次の就職先と住居が決まっている状態で退職するのが得策と言えます。
給料はどれぐらいもらえる?
このようにメリット・デメリットが存在する住み込みの仕事ですが、気になるのは金銭面の部分。実際、どれぐらいの給料が手に入るのでしょうか?
住み込みの平均月収
正社員として住み込みで働いた場合、月給は平均20~22万円ほどが相場だとされます。
これは固定月給であり、募集要項などでは、ここに残業代等がプラスされ27~30万円と記載されるケースが多いです。
この数字はあくまで住み込みで働く人の平均的な月給なので、職種によって変わってくる部分はあると思われます。
家賃はいくら?
社員寮の家賃は“通常の賃貸相場の20%~50%ほどになる”ようなので、寮で家賃の半分以上取られている場合は、その社員寮は高いということになります。
この家賃相場には地域差があり、関東の場合は平均3~4万ほど、関西の場合は平均2~4万円ほど、その他の地域になると約5000円~2万円と幅が広くなります。
家賃が少額なことに加え、まとまった収入を手に入れられるため、短期間で稼ぎたい方や貯金をしながら働きたい人には魅力的なポイントだと言えるでしょう。
企業は寮に力を入れている?最近の事情は?
ここまでメリット・デメリットなどをお伝えしてきましたが、昨今の労働力不足から、企業は寮完備の待遇が採用ポイントの1つとも捉えており、「快適さ」と「清潔さ」を兼ね備えた過ごしやすい寮の新設・拡充に力を入れ始めています。
そんな中、人手不足が慢性化している警備業界では、職場環境の改善のほか、生活環境の改善も課題に挙げられており、少しずつ設備の見直しがされてきています。
女性の警備員の需要が高まっていることから、「オートロック完備」「鍵付きポスト」などのセキュリティに配慮した設備や、インターネット環境バッチリの「Wi-Fi」など、令和の暮らしに対応した設備完備がされてきています。
人材採用や耐震性強化の観点からも、設備の改善は進んできており、今後はより綺麗で住みやすい寮・社宅が増えることが期待できます。