立哨警備とは?座哨警備との違いやきついと言われる理由を解説

笑顔の警備員

警備業のなかでも人気が高い職種が「施設警備」です。施設警備の業務のなかに、「立哨(りっしょう)・座哨(ざしょう)」があるのをご存じでしょうか。立ち仕事や座り仕事のことだとイメージは湧きますが、経験が無い方からすると、実際にどんな業務をするのかわかりにくいでしょう。

今回は知っているようで知らない、「立哨警備」の内容や座哨との違いなどについて詳しく解説します。立哨警備について理解を深め、施設警備業務の良いスタートを切りましょう。

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立哨警備とは「施設の保守管理を行う仕事」

パソコンを見る2人の警備員

そもそも「立哨(りっしょう)」とは、施設警備員が行う基本業務のひとつです。立哨警備業務では、施設にある一般客や関係者用の出入り口付近に立ち、不審者の有無や異常がないかを監視します。

ビシッとした制服や、きっちりした勤務態度が「緊急時に備えて警戒しています」といった言葉なきオーラを出しており、警備員は立っているだけで犯罪の抑制効果があるといわれています。

座哨警備との違い

立哨警備と座哨警備には、以下のような違いがあります。

  • 立哨警備:立って警戒に当たる業務
  • 座哨警備:座ったまま警戒に当たる業務

座哨警備は、立哨警備と同じく施設の出入管理という目的があります。座ったまま周辺を監視するところが、立哨と異なる点です。

たとえば、一般客が出入りしない商業施設の従業員専用入口の警備などでは、座哨にて監視を行う場合があります。

座哨警備の場合、体力を温存できますが、リラックスできるわけではありません。座りながらも常に警戒して監視し、緊急時には素早く行動しなければならないため、集中力が必要です。

座哨警備を推進している会社に『ウェブノ株式会社』があります。下記の記事ではウェブノ株式会社の取り組みを紹介しているので、あわせて読んでみてください。

施設警備業務の種類

施設警備の仕事は、立哨と座哨だけではありません。ほかにも、以下のような業務があります。

【施設警備業務の種類】

  • 巡回
  • モニター監視
  • 施錠管理
  • 受付業務 など

立哨との違いやそれぞれの業務内容を知って、施設警備業務への理解を深めましょう。施設警備に関する資格ついて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

巡回

巡回警備は、施設内外を定期的に巡り、異常の有無の確認や緊急時に迅速な対応をして安全を確保する業務です。

【巡回の具体的な業務】

  • 施設内外の巡回
  • 異常の確認と対応
  • 防犯カメラのチェック
  • 非常口と避難経路の確認
  • 設備の点検
  • 鍵の管理
  • 不審者の監視
  • 必要に応じた巡回経路の見直し

目視で周囲を監視する立哨警備とは異なり、巡回警備は、特定の時間が来ると決められた順路をたどりながら広範囲を監視します。

24時間警備を行っている施設であれば、3交代制や当務といった勤務形態で仕事をする場合があるため、夜勤が入る可能性も視野に入れましょう。

受付

受付業務は、施設の入口で来訪者の対応を行う業務です。

【受付の具体的な業務】

  • 来訪者の対応
  • 入館手続き
  • 電話応対
  • 案内業務
  • セキュリティモニタリング
  • 不審者・不審物対応

受付業務は、不審者の侵入を防ぐだけではなく、訪問者に対する案内や質問対応も含まれるためコミュニケーションスキルが求められます。

受付業務をする場所は、オフィスビルや商業施設の受付カウンター・マンションのエントランスなどが一般的です。

受付業務は、対人対応を通じて施設内の安全を守ります。立哨警備が「見る警備」であるのに対し、受付は「接触する警備」といえるでしょう。警備員の受付業務については以下で詳しく解説しています。

施錠管理

施錠管理は、施設内の各所でドアや窓の施錠を確認し、不正侵入を防ぐ業務です。

【施錠管理の具体的な業務】

  • 施錠確認
  • 施錠作業
  • 鍵の管理
  • 開錠作業
  • 異常確認
  • セキュリティシステムの設定

施錠管理業務が必要な施設は、オフィスビルや学校・商業施設やマンションなどです。立哨警備がその場の即応に重点を置いた業務であるのに対し、施錠管理は施設全体の物理的な安全確保を目的としています。

動哨

動哨(どうしょう)とは、施設内外を移動しながら安全を確保する業務です。

【動哨の具体的な業務】

  • 施設内外の巡回
  • 異常の発見と対応
  • 施錠確認
  • 安全設備の点検
  • 緊急対応
  • 来訪者の監視

動哨は主に、大規模な施設やイベント会場など広範囲にわたって巡回し、異常を確認します。動哨警備を行う場所としては、商業施設や空港・大型イベント会場などが一般的です。

特定の場所に立って周囲の異常を目視で確認する「立哨警備」に対し、「動哨」は移動しながら広範囲を監視して施設全体の安全を守ります。

立哨警備員がきついと言われる3つの理由

警備員の後ろ姿

立哨警備は施設の安全を守る重要な業務ですが、「きつい」と感じられることも少なくありません。本章では、立哨警備がきついと言われる理由を3つ解説します。

【立哨警備員がきついと言われる3つの理由】

  1. 立ちっぱなしになりやすい
  2. 足腰の負担が大きい
  3. 疲労度が大きい

それぞれ解説します。

理由1: 立ちっぱなしになりやすい

立哨警備は、特定の場所で長時間立ち続けることを求められる仕事です。基本的には立ちっぱなしのままの勤務となるため、立哨警備の間は休む時間がほとんどありません。

疲労を感じてもストレッチをしたり座ったりできないケースが多く、体力を消耗しやすくなります。姿勢を正したまま長い時間立ち続ける点が「きつい」と言われる大きな理由でしょう。

理由2:足腰の負担が大きい

立哨警備は、長時間立ち続けるため足腰へ大きな負担がかかります。硬い地面や狭い場所での勤務が続くと、足の筋肉が緊張して強張るため、筋肉痛や関節の痛みが日常的に発生する可能性もあります。

また、立ち続けることで腰にも負担がかかり、腰痛の原因となることも少なくありません。姿勢が悪くなったり、体重を片方の足にかける癖がついたりすることで、腰への負担が増加することもあるでしょう。

このように、足腰への負担の蓄積が「立哨警備がきつい」と感じられる理由のひとつとなっています。

理由3: 疲労度が大きい

立哨警備は、長時間にわたって立ち続けるため、勤務終わりには疲労を感じやすいでしょう。

同じ場所で立ちっぱなしの状態が続くと、足に二酸化炭素や老廃物が溜まり、だるさや痛みが生じやすくなります。血行不良になると、足腰への負担だけでなく全身に疲労が蓄積しやすくなるため、集中力も次第に低下してしまうのです。

このように、肉体的にも精神的にも疲労度が大きい点も「立哨警備がきつい仕事」と言われる理由といえるでしょう。

立哨警備業務で得られる3つの利点

ガッツポーズの女性警備員

立哨警備業務は、体力的・精神的な厳しさがある一方で、得られる利点も多い仕事です。

【立哨警備業務で得られる3つの利点】

  1. 体力がつく
  2. 姿勢が良くなりやすい
  3. 集中力が高まりやすい

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利点1| 体力がつく

立哨警備は、一定の姿勢を保ちながら長い時間をかけて周囲を監視するため、自然と体力がつきやすい仕事です。日々の業務を通じて、足腰の筋力が鍛えられると持久力が向上します。とくに、日常生活での運動量が少ない人にとっては、運動不足の解消に役立つでしょう。

立ち仕事とデスクワークの消費カロリーは、個人の体重や身体活動量によって異なるものの、一般的には立ち仕事のほうが多く消費します。そのため、ダイエット効果が期待できるという点も、利点といえるでしょう。

立哨警備によって日常的に体を動かすことで、健康維持や体型管理にもつながります。

利点2|姿勢が良くなりやすい

立哨警備は、特定の場所で一定の姿勢を保ちながら監視を続けます。背筋の伸びた正しい姿勢を意識する習慣が身につくため、自然と姿勢が良くなりやすいメリットがあります。

悪い姿勢のままで警備に当たると疲労が溜まりやすく、長時間の勤務が困難になるため、良い姿勢の維持が大切です。

【良い姿勢の条件】

  • 背筋が伸びている
  • 重心位置が高い
  • 背骨が自然なS字カーブ

良い姿勢で業務をこなすと日常生活でも正しい姿勢が身につきやすくなり、結果的に腰痛や肩こりの予防にもつながります。見た目の印象が向上することから、自信を持って行動できるようになるでしょう。

立哨警備を通じて自然と健康的で美しい姿勢が身につくことは、大きなメリットといえます。

利点3|集中力が高まりやすい

周囲の状況に目を配って、即座に異常を察知する立哨警備は、常に緊張感を持ち続けなければなりません。この緊張感は、自身の集中力を高めてくれるのに役立ちます。

【集中力が高まるメリット】

  • 業務の精度向上
  • ほかの仕事への応用
  • ストレス耐性の向上
  • 自己管理能力の向上

集中力が高まると、立哨警備だけではなく、ほかの仕事や日常生活の作業も効率良く行えます。また、集中力の向上はリラックス効果も期待できるため、ストレス耐性も高まるでしょう。

立哨警備業務を通じて集中力が自然と高まりやすくなるのは、仕事をするうえでの大きなメリットです。警備員のメリットについては以下で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

立哨警備がきついと感じたら!上手に働く3つのコツ

ガッツポーズの男性警備員

立哨警備は体力や精神力が必要な業務ですが、工夫次第で負担軽減が可能です。本章では、立哨警備がきついと感じたときに役立つ3つのコツを紹介します。

【立哨警備で上手に働く3つのコツ】

  1. 姿勢を正す
  2. 定期的にストレッチをする
  3. 仕事終わりにはマッサージをする

紹介するコツの実践で、無理なく業務を続けられ、効率的に働けるようになるでしょう。それぞれ解説します。

《コツ1》 姿勢を正す

立哨警備で長時間立ち続ける際、姿勢を正すことは非常に重要です。正しい姿勢を保つことで、足腰への負担を軽減し、疲労の蓄積を防げます。

業務中に足腰がツライと感じたときは、一度自分の姿勢をチェックしてみましょう。

【姿勢のチェックポイント】

  • 前かがみになっていないか
  • 耳・肩・骨盤・足が一直線になっているか

背筋を伸ばし、肩をリラックスさせることで体全体のバランスが良くなり、長時間の立ち仕事でも無理なく続けられます。正しい立ち方により一時的に疲れを感じても、体の一部のみに負担が集中することがないため、集中力が維持できて業務の質が向上するでしょう。

《コツ2》 定期的にストレッチをする

立哨警備は、同じ姿勢で長時間立ち続けることが多いため、筋肉が硬直しやすく疲労が蓄積しやすくなります。疲労の蓄積を防ぐためには、定期的にストレッチをするのが良いでしょう。ストレッチは筋肉の緊張をほぐし、血行を促進するため、疲労回復を助けます。

【業務の合間にできるストレッチ】

  • 首:姿勢を正し、真上を見て右回り、左回りにゆっくり3周程度回す
  • 腰:足を肩幅程度に開いて下半身を動かさないよう腰をひねって真後ろを向く
  • 足:足を前後に開いて膝を軽く曲げながら前に体重をかける

ストレッチは心身のリフレッシュにも役立ち、集中力を維持する効果も期待できます。休憩時間中にも簡単なストレッチを取り入れることで、体への負担を軽減できるため、長時間の勤務をより快適に過ごせるでしょう。

《コツ3》 仕事終わりにはマッサージをする

立哨警備の仕事は、長時間立ち続けて血流が悪くなりやすいため、仕事終わりにマッサージを取り入れるのが効果的です。マッサージをすることで、勤務中に溜まった筋肉の疲労や緊張をほぐし、血行促進を期待できます。

【仕事終わりにおすすめのマッサージ】

  • 足裏ほぐし:ゴルフボールやテニスボールを足裏で転がす
  • ふくらはぎマッサージ:両手でふくらはぎを包み込むようにし、下から上に向かって軽く揉みほぐす
  • 腰の揉みほぐし:両手の親指を腰の中央に当て、外側に向かって円を描くように揉む
  • 腰伸ばしストレッチ:床に座り、片足を伸ばしたまま反対の膝を立て、体をその方向にひねる
  • 首のストレッチ:ゆっくりと首を前後左右に倒し、筋肉を伸ばす

体が温まった状態でマッサージをすると血液の循環が早まるため、入浴後に行うのがおすすめです。定期的にマッサージを行うことで、立哨警備の仕事による疲労を効果的にリセットし、次の勤務に向けて万全のコンディションを整えられます。

立哨警備に関するよくある質問

Q&A

最後に、立哨警備に関するよくある質問に回答します。

【立哨警備に関するよくある質問】

  • 立哨の読み方・英語表記・意味は?
  • 立哨警備として働く時間はどのくらい?
  • 学校の立哨当番も警備員の仕事ですか?

立哨警備への不明点を解消したうえで、仕事探しを行いましょう。

立哨の読み方・英語表記・意味は?

「立哨」の読み方や英語表記・意味は、以下のとおりです。

  • 立哨の読み方:「りっしょう」
  • 英語表記:Stand guard
  • 意味:一定の場所に立って警戒・監視する

立哨という言葉は普段使われにくい漢字のため、読み方や意味に迷う人もいるでしょう。立哨の基礎知識について、まずは確認しておいてください。

立哨警備として働く時間はどのくらい?

立哨警備として働く時間は、30分から1時間おきに交代制で実施されるのが一般的です。立哨警備では立っていることが犯罪の抑止力になるため、常に監視を続ける必要があります。

「立ちっぱなしではないなら、肉体的負担が少ないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、時間が来たら交代まで立ち続ける必要があるため、少しずつ疲労が蓄積されます。立哨警備を行った日には、マッサージやストレッチで疲れを取りましょう。

学校の立哨当番も警備員の仕事?

学校の立哨当番を警備員が行うかどうかは、各学校によって異なります。学校は多くの教師や生徒が生活する場所であるため、不審者の抑制や異常の察知が必要な点から、警備員に立哨警備を依頼するところもあります。

学校の警備員業務は、巡回や入出管理・夜間警備や雑用などの立哨業務以外を担当する可能性もあるでしょう。大学での警備員について、下記記事でまとめていますので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

立哨警備はトラブルを未然に防ぐ大切な仕事

敬礼をする警備員

施設警備員の業務のひとつである立哨警備は、施設の安全を守り、トラブルを未然に防ぐ大切な仕事です。

立哨警備は座哨警備と異なり、立ちっぱなしで警備に当たるため、足腰の負担や疲労を感じることもあるでしょう。きついと感じたときには、姿勢を正したりストレッチやマッサージを入念に行ったりして、疲労の蓄積を防ぐのがおすすめです。

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