「警備員指導教育責任者」の資格をご存知でしょうか。
警備員の資格を調べていくと、必ず登場する国家資格です。
しかし、漢字だけ見て何となく難しいイメージは沸くものの…具体的にどんな資格なのか、どうやって取得するのか、実態はあまりわかりませんよね。
今回は、「警備員指導教育責任者」の資格について詳しく解説していきます。
収入を上げたい方、スキルアップしたい方、せっかく警備員の仕事をしているなら、知っていて絶対に損はありません!
この機会に、〈何となく難しいイメージ〉を払拭し、〈自分でも挑戦出来る資格〉に塗り替えませんか?
目次
警備員指導教育責任者の資格ってなに?
そもそも、「警備員指導教育責任者」とは、警備員が最初に受ける研修の指導者であり、具体的には、指導の企画書作成、それに基づいた指導内容の記録、研修の実施管理、研修内容の記録…など行う人のことを指します。
警備業法で、警備員は勤務する前に必ず研修を受けなければなりませんが、その指導者も資格を有している人じゃないといけない法律があるのです。
細かく言うと、全ての警備会社、各営業所(又は該当営業所)で、警備業務の区分ごとに警備員指導教育責任者を選任し、指導・監督を当たらせる義務が警備業法で定められている、という事です。
警備業務の区分ごと、というのは、
・1号警備業務(施設警備・機械警備)の警備員指導教育責任者
・2号警備業務(交通誘導・雑踏警備)の警備員指導教育責任者
・3号警備業務(輸送警備)の警備員指導教育責任者
・4号警備業務(身辺警備)の警備員指導教育責任者
とそれぞれの警備業務ごとに、資格も分かれています。
一つだけ取得しても良いですし、二つ、三つと…全て取得するのも可能です。
あればある程この資格は、警備の仕事の幅を広げ収入アップにも繋がる、重要度が高い資格なのです。
警備員指導教育責任者を持っているとどうなるの?メリットは?
では、実際に資格を持っているとどんなメリットがあるのでしょう。
現場で警備をする機会が少なくなり、年齢関係なく仕事が続けられる。
営業所内での教育・管理業務になる為、基本的な仕事内容は全く違います。立ちっぱなしだった警備業務ではなく、座りながら書類を作成する事が殆どとなります。高齢者の方や体力に自信が無い方は、長年勤められる仕事が出来る為、資格の実用性は高いと言えます。
年収が無資格の警備員より、格段と上がる
警備会社によって手当の幅は変わってきますが、基本的に必要とされている業務の警備員指導教育責任者と自分が取得している資格がマッチすれば、収入面で損だと感じることはほぼありません。
大事なのは、ちゃんと自分の取得した資格の手当が出る警備会社を選ぶこと。
一般的には、警備員指導教育責任者の手当が出る会社が多いとされていますので、この資格は色んな求人を吟味できる材料となるでしょう。
殆どの警備会社で、貴重な人材として重宝される
警備会社は常に人手を必要としています。そんな中、警備員指導教育責任者の資格を持った人が現れたら、当然のように会社は重宝するでしょう。それぞれの業務毎に資格が存在する為、新しく入って来る従業員の比率程、需要が高まります。
通常の警備員とは違った、やりがいのある仕事
人々の安全・安心を守る為、街に繰り出している警備員ですが、資格相応のポジションになれば、会社の中枢となってきます。自分が働く事で、会社が動いているという実感や、誰かに指導・教育することであまり味わえない達成感が感じられると思います。昔から人に教える事が好きな方や、教育指導に興味がある方には、とても魅力的な仕事になる筈です。
試験を受ける条件は?
試験を受けるには、下記項目のいずれかに当て嵌まる事が条件となります。
※元警察官は別の取得方法になります。
- 受講する警備区分の業務について、最近5年間に通算3年以上従事している方
- 受講する警備区分の警備業務検定1級の合格証明書の交付を受けた方
- 受講する警備区分の警備業務検定2級の合格証明書の交付を受けてから1年以上継続してその区分の業務に順次している方
- 受講する警備区分の旧検定1級に合格している方
- 受講する警備区分の旧検定2級に合格した後、1年以上継続してその区分の業務に従事している方
特に資格を持っていなくても、1.「受講する警備区分の業務について、最近5年間に通算3年以上従事している方」に該当していれば、試験を受けることが出来ます。
2.「警備業務検定1級」と3.「警備業務検定2級」とは、警備業務検定という国家資格の中の一つです。こちらも業務区分ごとに資格が存在していて、1級と2級に分かれています。
例えば、「施設警備業務検定1級」を取得している方は「1号警備業務(施設警備・常駐警備)の警備員指導教育責任者」の試験を受けることが出来る。という事です。
逆に言えば、最近5年間に通算3年以上施設警備の仕事をしておらず、「雑踏警備業務検定1級」のみ取得している方は、「1号警備業務(施設警備・常駐警備)の警備員指導教育責任者」の試験を受けられない。という事でもあります。
また、受講する警備員指導教育責任者の業務区分に合った警備業務検定を持っていれば、最近5年間に通算3年以上受講業務の警備をしていなくても、試験は受けられるという事ですね。
これだけ見れば、試験を受けるだけなら、思ったよりも高いハードルではありません。
何となく難しそうなイメージの資格も、日ごろ警備の仕事としっかり向き合っていれば、手が届く範囲にあるのがわかります。
試験申込みからの流れ
資格の交付は都道府県公安委員会が実施していますが、試験は必ず講習とセットになっていて、警備業協会に委託する事が多いです。
講習・試験を含め、約6日間~7日間程度時間がかかりますが、講習をしっかり受けて、問題集と教材を学習すれば、合格出来る確率がぐんと上がります。
また、講習にも種類があり、「新規取得講習」と「追加取得講習」の2種類があります。
簡単に説明しますと、
初めて警備員指導教育責任者の資格試験を受ける方ならば、「新規取得講習」。
既に、警備員指導教育責任者の資格を1つ持っていて、別の区分業務の備員指導教育責任者の資格試験を受ける方ならば、「追加取得講習」。という事になります。
※どちらの講習も一定条件を満たしている上での事です。
新規取得講習
※東京都内で取得する際の例
申込みの流れとしては、
【一次受付】電話受付 → 【二次受付】書類提出 → 【三次受付】受講料納入
となっています。
講習・試験は、業務別で行われるので、どの(1号・2号・3号・4号)資格を取得したいかで、講習スケジュール・試験日が変わってきます。
また更に注意したいのは、自分がどの試験条件を満たしているのかによって、申込み書類が変わってくるという事です。
条件は、先ほど「■試験を受ける条件は?」にてご紹介した通りですが、しっかり条件を認識した上で挑まなければ混乱してしまう恐れがあります。
それぞれの申込方法・スケジュールに関しましては、各都道府県「警備業協会」のホームページにてご確認下さい。
業務別 講習・試験時間と受講料
1号警備業務
講習時間:47時限
※7日間・土日祝日を除く
受講料:47,000円
最終日試験:100分40問 合格基準約80%
2号警備業務
講習時間:38時限
※6日間・土日祝日を除く
受講料:38,000円
最終日試験:100分40問 合格基準約80%
3号警備業務
講習時間:38時限
※6日間・土日祝日を除く
受講料:38,000円
最終日試験:100分40問 合格基準約80%
4号警備業務
講習時間:34時限
※5日間・土日祝日を除く
受講料:34,000円
最終日試験:100分40問 合格基準約80%
合格発表
試験の合否については、即日中に発表されます。
見事合格した方は、警備員指導教育責任者資格者証の交付申請へ向けて、書類の準備に取り掛かります。
交付申請 必要書類の例
・講習修了証明書(原本)
・履歴書
・住民票の写し(本籍地を記載のもの)
※コピー不可
※外国人の場合は国籍等
・身分証明書(本籍地の区市町村の長が証明する書類)
・診断書(警備員指導教育責任者用)
・誓約書(警備員指導教育責任者欠格用)
合格発表後、提出方法など詳しい説明を受けられますので、漏れが無いようにしっかり準備しましょう。
警備員指導教育責任者の資格があれば、警備員で独立が可能!?
資格を持って、有利に働くだけでなく、自分で警備会社を設立することも夢ではありません。
この警備員指導教育責任者の資格は、持っていると警備業者として独立することが可能なのです。
もちろん、この資格だけあれば独立が出来る、という訳ではありませんが、このような重要度が高い資格を着々と取得していくうちに、経営者になる為のスキルもどんどん増えていきます。
開業の許認可については、まず警察署に申請をし「認定」される必要があります。
そこからは、公安委員会の許可を得たり、必要書類を揃えたり…準備は沢山あるのですが、警察署に申請をする時点で、必ず「警備員指導教育責任者資格者証の写し」が必要になるのです。
つまり、この資格を持っていると、将来的に自分が経営者になる可能性があるという事です。
会社に所属して、警備の仕事をするのも良いですが、何れは自分も会社を立ち上げてみたい!と夢をお持ちの方は、是非試験に挑戦してみてください!
まとめ
警備員指導教育責任者の資格試験を見る限り、他の資格に比べて受講料が高く感じられます。
そして講習時間が長いとその分スケジュール管理が重要となってきます。
個人で資格を取得しようとすると、どうしても費用と時間がかかってしまうので、お勧めとしましては、資格取得支援制度がある会社に勤務している中で取得するのが良いと思われます。
現在勤務をしながら資格を取得したい方は、在籍している会社で警備員指導教育責任者の資格費用を負担してくれるのかを確認しましょう。
また、これから警備会社へ就職・転職を検討中で資格を取得したい方は、「資格取得支援制度」があり、警備員指導教育責任者の資格費用を負担してくれるのか、調べた上で応募しましょう。
雇用形態は関係無く、費用を負担してくれる会社もありますので、事前に確認することが大切です。
資格手当の有無も非常に大切な待遇です。
手当の付与や、資格費用を負担してくれるだけでなく、シフトも調整してくれる会社もあります。
せっかく資格を取得したのに、給料が上がらなくては意味がありませんので、求人情報をしっかり読んだ上で、納得できる会社を選んでください。
誰かを指導・教育するというのは、とても大変な事ですが、警備のベテランになればなるほど、向いてくる資格です。講習で勉強し、試験を受けることによって、確実に知識量は増えます。その知識を仕事へと使うことによって、「警備員指導教育責任者」に選任されるのです。
また、この資格を持っていることによって、自信やモチベーションに繋がるのであれば、それだけで挑戦する理由になるのかもしれません。
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