交通誘導のやり方を徹底解説!誘導灯・手旗の使い方や合図の方法を紹介

交通誘導をする男性

交通誘導警備の仕事には、自動車の誘導が欠かせません。状況に応じて適切な指示を出すことで、事故防止につながります。

しかし、交通誘導の経験がなく、具体的なやり方を知らない方もいることでしょう。本記事では、交通誘導のやり方や必要な道具・注意点などを紹介します。実際の業務内容もまとめていますので、業務前のチェックに利用してみてください。

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交通誘導警備とは?

交通誘導警備員

交通誘導警備とは、歩行者や車両の事故・トラブルを防ぎ、安全を守る警備業務です。誘導棒や手旗・警笛を用いて自動車や歩行者を誘導し、交通をスムーズに進める役割があります。

交通誘導警備が必要な場所は多岐に渡ります。

  • 大型車両が出入りする工事現場
  • 人・自動車の出入りが多い商業施設
  • イベント会場 など

通行に危険のある場所で事故の発生を未然に防ぐにあたり、交通誘導警備員の仕事は重要といえるでしょう。

【基本動作】警備員の交通誘導のやり方3ステップ

手を伸ばす交通誘導警備員

交通誘導の基本的な動作は、次の3つです。

  1. 停止を予告する
  2. 車を停止させる
  3. 進行を促す

誘導灯を使った交通誘導のやり方を解説するので、勤務前に動作をチェックして、間違いなく指示を出せるよう練習しましょう。

1.停止を予告する

前方から来る自動車を停止させる前の準備として、停止予告の指示を出しましょう。誘導灯を縦に持ち、頭の上で大きく左右に振ってください。手首や肘を曲げずに大きく振ることで、自動車の運転手に気づいてもらいやすくなります。

突然停止の指示を出すと、自動車が急ブレーキを踏んでしまい、警備員と接触するリスクがあるため危険です。予告動作を出すことで、徐々に車のスピードを落としてもらえるため、安全な停止につながります。

2.車を停止させる

停止予告動作を出したあと、停止動作を出せば安全に自動車を止められます。誘導灯を右手に持ち、頭上で地面と水平になるように構えましょう。停止予告の動作で振っている誘導灯を、そのまま横に倒す形になります。

停止の指示を出す際は、車の進行をふさぐ位置に立つのがポイントです。自動車の急発進に備えて、十分な距離を取りつつ、運転手から見える位置で指示を出しましょう。

3.進行を促す

自動車を進行させる際は、進行方向に対して平行に立ち、左手を進行方向に向けてください。右手に持った誘導灯を下から進行方向に向かって、円を描くように振りましょう。

進行指示を出す際は、周囲の安全にも注意が必要です。とくに、自動車の進行方向に歩行者・自転車がいないことを確認してから、進行指示を出してください。

現場によっては、進行指示が「誘導灯を上から振る」「誘導灯をゆっくりとぐるぐる回す」動作になる場合もあります。

徐行を促す場合

徐行の指示は、自動車の速度を落としながら、ゆっくりと進んでもらいたい場合に使います。進行指示と同様の位置に立って、誘導灯を真横に伸ばし、上下に揺らしてください。

どのような合図を出す際にも、動作はゆっくりと、大きく行う必要があります。誘導灯を揺らす動作も、できるだけ大きく行いましょう。指示がわかりにくいと、運転手も適切な対応ができず、事故に発展する恐れがあります。

【応用編】警備員の交通誘導のやり方2つ

微笑む交通誘導警備員

使用頻度は低いですが、特定の状況で必要になる交通誘導のやり方を2つ紹介します。

  • 片側交互通行|手旗を使用
  • 後進誘導

片側交互通行|手旗を使用

片側交互通行(片行)とは、道路工事の際、片側1車線の道路を開けておく交通規制のことです。2つの方向から進行してくる自動車を交互に通行させるため、常に2人の警備員が必要になります。

片側交互通行の誘導方法は、「停止」と「進行」の2種類です。手旗(赤白旗)は、右手に「白」、左手に「赤」を持ちます。

【誘導方法】

【指示詳細】

停止

  1. 自動車の正面に立ち、真っすぐ赤旗(左手)を上げる
  2. 赤旗を左右に揺らす
  3. 赤旗を肩と平行になるように、横に倒す
  4. 車の停止を確認したら相方の警備員に体を向け、白旗(右手)を上げて進行のサインを出す

進行

  1. 相方の警備員が白旗を上げたら、赤旗を上げて確認OKのサインを出す
  2. 赤旗を下げる
  3. 停止している車に対して白旗を進行方向に向け、進行の合図を送る

上の動作を交互に繰り返して、交互に自動車を通行させましょう。

後進誘導

後進誘導(バック誘導)とは、自動車や工事車両をバックさせる際の指示です。運転手から見えない位置への誘導を行うため、難度が高い誘導といえます。

後進誘導は、次のステップで行いましょう。

  1. 車両の左後方、約5メートルの位置に立つ
  2. 車両の進行方向と平行に体を向け、警笛を吹きながら進行の合図を出す
  3. 停車位置までバックしたら、停止の合図を出す

運転手から見えない位置に立つため、誘導の際は警笛を吹いたり、声をかけたりするのが効果的です。警笛を吹く場合は、進行時は「ピッ」と短い音、停止時は「ピー」と長い音を出してください。

紹介した指示を覚えれば、実際の業務にも従事できるでしょう。警備求人サイト『ケイサーチ!』には交通誘導警備の求人が豊富にありますので、この機会にご自身に合った仕事を見つけてみてください。

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交通誘導の仕事内容

ガッツポーズの警備員2人

実際の交通誘導現場で、どのような業務が行われているかを紹介します。2種類の現場を取り上げ、それぞれ業務内容を見ていきましょう。

  • 交通規制(片側通行)
  • 駐車場内警備

交通規制(片側通行)

2車線の道路で工事をする際は、片方の車線で工事を行い、通行のためにもう片方の車線を空けます。両方の車線から来る自動車を片方ずつ通行させるため、警備員を出入口に1人ずつ、中央の指示役として1人、合計3人の配置が必要です。

出入口の警備員は、各方向から来る自動車を停止させ、反対側の警備員と合図し合いながら交互に進行させます。中央にいる指示役の警備員の仕事は、次のとおりです。

  • 工事車両の出入り誘導
  • 作業員への注意喚起
  • 出入口の警備員に緊急連絡

中央の警備員には臨機応変な対応が求められるため、ベテランが担当します。

駐車場内警備

駐車場内では、次の業務が必要になります。

  • 出入口付近での案内
  • 駐車スペースへの誘導
  • 駐車場内の巡回

出入口付近の仕事は、駐車場へ出入りする自動車の誘導です。歩行者がいたり、車道の通行が激しかったりする場合は、自動車を停止させます。

駐車スペースへの誘導も、警備員の仕事です。空いている駐車スペースに自動車を誘導し、駐車場内で走行している車を減らすことで、事故のリスクを抑えます。

加えて、駐車場内を巡回し、車上荒らしや事故が発生していないか見張る仕事もあります。自動車に残された子どもや、放置されたショッピングカートがないかの確認も大切です。

交通誘導に必要な道具

警備棒

交通誘導警備に使う道具は、次の4つです。

  • 誘導灯(誘導棒)
  • 手旗
  • 警笛
  • 白手袋(白手)

交通誘導で使う道具について詳しく知りたい方は、関連記事もチェックしてみてください。

誘導灯(誘導棒)

誘導灯(誘導棒)は、誘導の際に使用する、赤く発光する棒のことです。手元にある電源スイッチを押すと棒に仕込まれた赤色LEDが点灯するため、指示の視認性を高められます。通常の誘導灯は赤色ですが、高速道路で誘導を行う場合は、青色・黄色の誘導灯を使うケースもあります。

誘導灯は、ホームセンターやインターネット通販などで購入可能です。近年は視認性を高めるため、点灯のみのタイプより点滅するタイプが重宝されています。警備会社から特別な指示がない場合は、点滅機能のある誘導灯を選びましょう。

手旗

手旗は、誘導灯と同じく車両や歩行者を誘導する道具です。停止を意味する赤旗と、進行の白旗を1セットにして使います。決められたルールに従って手旗を振ることで、細かな指示を伝えられるのが利点です。

しかし、手旗誘導を行うには、合図の方法をマスターする必要があります。誘導灯より視認性が悪いため、雨天時や夜間には使えないのも難点です。また、高速道路では大旗を使います。

警笛

警笛は、警備員が携帯している笛(ホイッスル)のことです。警備員が肩から装着しているモール(警笛紐)に付属しており、普段は胸ポケットに収納します。

合図に合わせて警笛を吹くことで、音の情報が加わり、よりわかりやすく指示を出せるでしょう。また、緊急時に危険を知らせることもできます。

ただし、警笛による指示が行えるのは、自動車や工事車両を相手にしたときのみです。歩行者に指示を出す際は、口頭で誘導を行いましょう。

白手袋(白手)

白手袋(白手)は、あらゆる警備員が身に着けている道具です。手での誘導を行う際、自動車や歩行者から見やすくなるよう、白い手袋を着けています。警備員の白手袋は、軍手と異なり、つるつるとした手触りとシンプルな外観が特徴です。

白手袋を着けることで清潔感のある印象になり、歩行者や運転手からの信頼を得やすくなります。精神的な安心感を与え、警備員の指示に従ってもらうためにも、必ず白手袋を着用しましょう。

交通誘導業務を行うときの注意点5つ

夜に警備棒を持つ男性

交通誘導の仕事をする際は、次のポイントに注意しましょう。

  • 誘導に強制力がないことを理解する
  • 指示は早めに、大きく出す
  • 集中力を保つ
  • 自動車より歩行者を優先する
  • 身の安全を守る

実際の業務に従事する際は、ぜひ意識してみてください。

《注意1》誘導に強制力がないことを理解する

警備員の交通誘導は、法的拘束力のない「お願い」です。停止や進行の指示に法的拘束力がないため、指示に従うか従わないかは、運転手が決定できます。

しかし、交通誘導警備の現場は交通量が多く、危険も多い場所です。自動車・歩行者に指示を聞いてもらえるよう、礼儀正しい態度でお願いしましょう。指示に従ってもらったあとにお礼を言ったり一礼したりして、誠意を示すことが大切です。

一方で、警察官の行う交通整理には法的拘束力があるため、無視してはいけません。交通整理と交通誘導の違いは、関連記事をご参照ください。

《注意2》指示は早めに、大きく出す

警備員の指示が遅すぎたり、小さすぎたりすると、運転手には指示が見えません。指示に従ってもらうためには、早めにゆっくりと大きな動作で指示を出すことが大切です。

自動車との距離が50メートル以上離れている間に、指示を出しましょう。運転手の目をしっかりと見て、指示を出していると伝えるのも忘れてはいけません。

また、自動車と接触しないよう、車道の中心から離れた場所で指示を出してください。自動車の前に出るのは、速度が十分に落ちてからです。

《注意3》集中力を保つ

交通誘導は、常に危険が伴う仕事です。自動車を誘導する際に気を抜いてしまえば、事故につながるリスクもあるため、集中して勤務しましょう。体調不良で業務にあたるのも危険なため、日頃からの体調管理も大切です。

時間帯によっては自動車・歩行者が通らず、暇な時間が多くなることもあります。しかし、暇だからといって気を抜いてはいけません。暇な時間は、警備員の業務がうまくいっている証拠だと考え、モチベーション維持につなげましょう。

《注意4》自動車より歩行者を優先する

交通誘導の基本ルールは、歩行者を優先することです。通行する自動車を止め、歩行者が安全に通行できるよう配慮しましょう。

子どもや高齢者は判断能力が低いため、自動車の停止時間を伸ばしての対応が必要です。また、横断歩道を渡らせるときは、トラックや建設機械など大型車両の停止は避けましょう。大型車両の陰で前方の確認ができなくなり、後方車が追い越しをしようとして歩行者と接触事故を起こす恐れがあります。

《注意5》身の安全を守る

警備員は車両を誘導するだけでなく、自身の安全も守る必要があります。むやみに走行車両の前に出たり、自動車に背を向けたりすると、非常に危険です。誘導を行う前に、自分の立ち位置を確認し、危険でないか確認しましょう。

また、大型の工事車両を誘導する際は、運転手から警備員がほとんど見えません。車両の死角に入ると、巻き込み事故に発展する恐れもあるため、5〜10メートルの距離を置いて誘導してください。

交通誘導のやり方を押さえてミスを減らそう

警備員の男性

交通誘導警備とは、工事現場やイベント会場、駐車場で自動車・歩行者を誘導し、安全を守る仕事です。誘導灯や手旗、警笛を使って合図を出すことで、事故やトラブルを未然に防げます。

決められた誘導ルールに従い、業務に慣れていけば、自然な誘導ができるでしょう。基本の指示に加えて、ご紹介した注意点を意識しながら勤務してみてください。

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