警備員の服装は、一般人と警備員を区別し、警備員がいることを周囲にわかりやすくするためのものです。警備業法で、服装の勝手な変更・修理は禁止されています。
本記事では、警備員の服装に関する決まりや、業務ごとに異なる服装などを紹介します。夏や冬を乗り切る便利アイテムも紹介しますので、これから警備員を始める方は参考にしてみてください。
目次
警備員の服装は警備業法の規定に従う
警備員の服装は、警備業法によって細かく決められています。
勤務前に届け出た服装しか着用できないため、事前に服装のルールを把握しておきましょう。服装の一部(靴・手袋など)は自分で用意する必要があるため、勤務先に服装の条件を問い合わせてください。
これから警備員の仕事を始めたい方には、勤務初日の持ち物をチェックできる以下の記事もおすすめです。
制服は警備員を区別するための服装
警備員の服装が法律で決められているのは、警備員と一般人・警察官を明確に区別するためです。どちらとも混同しないよう、警備員の服装は色・デザインを公安委員会に報告し、承認を得る必要があります。
緊急時に避難誘導をしても、一般人と似た服装では意味がありません。警備員とすぐわかる制服を着用していれば、効果的に誘導ができるでしょう。
また、警察官・海上保安官との区別のため、警備員の制服には標章が付いています。標章の位置やデザインは法律に則って作られるため、自分でアレンジしてはいけません。
警備員がやってはいけない服装
警備員は人に見られる仕事であるため、次のような服装は避けましょう。
- 清潔感がない
- アクセサリーを身につけている
清潔感のある服装にするため、シャツやパンツにはアイロンをあて、しわを伸ばすのがおすすめです。また、警備業務の邪魔になったり、威圧感を与える原因となったりするため、アクセサリーは外してください。
警備員が規定違反の服装をしていた場合、違反者だけでなく、警備会社全体が罰せられます。勤務を続けるために、服装の規定は守りましょう。
各企業で警備員の「服装届出書」が提出されている
警備員は、公安委員会による審査に合格した服装で勤務しなければなりません。本章では、警備員の服装のルールについて詳しく解説します。
警備業法の内容については、下記の記事で詳しく解説しているのであわせて読んでみてください。
警備員の服装には届出が必要
警備員は、警備会社の規定に沿った服装で勤務します。警備会社は、警備員1人ひとりが着用する服装を「服装届出書」に記載し、公安委員会に提出して承認を得ているためです。
服装届に記載する内容は、次の7つです。
- 帽子、ヘルメット
- 上衣(シャツ、ジャケット、ネクタイなど)
- 下衣(ズボン、スカートなど)
- 標章ワッペンのデザイン
- 標章ワッペンの面積図(原寸大)
- 服装の着用写真
- その他、警備に必要な小物
靴や手袋(白手)など警備員自身が用意するものにも、ルールがあります。勤務前にはどのような服装を用意すればよいか、上司に確認しましょう。
服装を勝手に変えるのはルール違反
警備員の服装を変更する場合は「変更届」の提出が必要です。夏季に空調服を着用したい場合や、冬にコート・防寒ズボンなどの防寒具を着る場合も、警備会社に届け出てもらうことになります。
服装や装備を変更したい場合は、上司や警備会社に相談しましょう。個人の判断で服装を変えると、警備会社全体の問題になるため、勝手な変更は厳禁です。
警備員の服装・装備品を紹介
警備員の服装・装備品は、次のとおりです。
- 制服
- 制帽
- 靴
- モール・警笛
- 標章
着用や使用するものを知って、警備員の服装について理解を深めましょう。
制服
警備員の主な制服は、カッターシャツとパンツです。警備会社によっては男女で制服が異なり、スカートやキュロットを着用できる場合があります。
警備業務によって、着用する服装は異なります。雨天時の警備ではレインコート、夜間の交通誘導警備では夜光ベストなどが必要です。身辺警護(ボディーガード)では、スーツを着用します。
制帽
制帽とは、警備会社の徽章(きしょう)が付いた帽子のことです。
主に屋内の業務で着用し、屋外での着用は、風が強くない環境や激しい動きをしない場合に限られます。工事現場といった危険度の高い業務では、ヘルメットの着用も可能です。
制帽を被る際は、つばを正面に向けるようにしてください。着用の方法も服装届に記載されているので、まっすぐ被る必要があります。制帽を正しく着用すれば、厳格な雰囲気や貫禄が出るため、事故や事件を未然に防ぐ抑止力となるでしょう。
靴
警備員の靴は、自分で用意するケースがほとんどです。多くの現場では、つま先に鉄板の入った安全靴を着用します。施設警備では、ローファー(革靴)や脱げにくい紐なしの靴を指定されることも少なくありません。
工事現場や交通誘導など、危険な業務では必ず安全靴を着用しましょう。安全靴なら、つま先を車に踏まれたり、重量物が落ちたりしても、大きなケガを防げます。
モール・警笛
モールとは、警備員の肩につける紐状の道具を指します。先端に付いた警笛(ホイッスル)は、緊急時の注意喚起や合図に使用するため携帯が必須です。モールの色には規定がないため、役職で色が異なるケースもあります。
モールには警笛以外に、次の使い方もあります。
- ケガをした際の応急手当
- 緊急時の拘束具
モールには締め具があり、輪の部分を締められるため、止血帯や拘束具として利用可能です。ただし、実際の業務で使う機会は多くはありません。
モールの付け方
モールの付け方は、次のとおりです。
- 輪に右腕を通す
- 制服の肩にある留め具(エポーレット)でモールを留める
- 警笛を右の胸ポケットに入れる
モールに付いている警笛は、いつでも吹けるようポケットに入れておきます。モールをつける際は、向きに注意してください。警備会社によって指定の向きが異なる場合もあるので、勤務前に確認しましょう。
標章
標章とは、警備会社の所属を示すワッペンのことです。制服の左胸と右上腕部に装着して、警察官と区別できるようにします。また、レインコートやジャケットを着用する場合は、標章が付いたものを使いましょう。
標章のサイズは、60平方センチメートル以上である必要があります。色や取付位置を明記したうえで、実寸大を記載する決まりです。紛失した場合、服装届の規定に違反するため、速やかに会社に報告しましょう。
【業務別】警備員に必要な装備
警備員の服装は、業務ごとで異なります。
- 【1号業務】施設警備
- 【2号業務】交通誘導警備
- 【3号業務】貴重品・現金運搬警備
- 【4号業務】身辺警備
業務ごとに必要な服装を詳しく見ていきましょう。
【1号業務】施設警備
施設警備とは、ショッピングモールや病院など、施設の監視・巡回をおこなう仕事です。保安警備や空港保安警備・機械警備といった業務も施設警備に含まれます。
施設警備に必要な装備は、次のとおりです。
- 警笛
- 帯革
- ネクタイ
施設警備の仕事は、警備や監視だけに限りません。利用者からの質問に答えたり、道案内をしたりするため、相手によい印象を与えるようにネクタイを着用します。警備業務の中でも、とくに利用者との距離感が近いため、服装でも誠実さや清潔感のアピールが大切です。
【2号業務】交通誘導警備
交通誘導警備の際は、次の道具を装備します。
- 警笛
- 帯革
- 夜光チョッキ
- レインコート
- 誘導灯
- 手旗
- 無線機
基本は、施設警備の装備に加え、誘導に必要な装備を持つ形です。誘導灯や手旗は、歩行者や車両の誘導に使用します。夜間に視認性を上げる夜光チョッキや、雨天時に体を守るレインコートも必須です。
ほかの隊員や本部と連絡を取り合うため、無線機も装備します。イヤホンは支給されないケースもあるため、片耳式のイヤホンを準備しておきましょう。
【3号業務】貴重品・現金運搬警備
3号業務は、現金や貴重品などを運搬する業務であるため、次の装備が必須です。
- 警笛
- 帯革
- ネクタイ
- 無線機
- 警戒棒
基本の装備は施設警備と同じですが、貴重品や現金を運ぶ3号業務は「警戒棒」の装備が必要です。警戒棒とは、身の危険がある業務でのみ装備を許される、金属製または木製の護身用具を指します。また、防刃ベストや防弾ベストの装備を求められる場合もあります。
【4号業務】身辺警備
身辺警備とは、一般的にボディガードと呼ばれる業務です。重要な人物に付き添い、周囲の警戒にあたります。装備は、次のとおりです。
- スーツ
- ネクタイ
- 警戒棒
重要人物を警護するため、服装は警備員の制服ではなく、スーツにネクタイが基本となります。また、3号業務にあたる貴重品・現金運搬業務と同様に、警戒棒の装備も必要です。警察官がおこなうSP(セキュリティー・ポリス)とは異なり、拳銃などの携帯は許可されていません。
夏・冬を乗り切る警備員の必須アイテム
警備員にとって、暑い夏や、寒い冬は過酷な環境で警備をおこなうことになります。暑さや寒さを乗り切るため、次のようなアイテムを活用しましょう。
- 【夏】空調服・クールタオル
- 【冬】重ね着・マスク
屋外警備にピッタリのアイテムで、過酷な警備業務を乗り切りましょう。
【夏】空調服・クールタオル
夏の屋外業務では、空調服やクールタオルを活用しましょう。空調服とは、夏場でも風通しをよくするため、両脇にファン(扇風機)が取り付けられた服のことです。ファンから風が通るので、夏場でも暑さを感じにくくなります。
クールタオルは水に濡らすだけで冷たくなるタオルです。首元に巻けば、暑い環境でも活動しやすくなります。
ただし、空調服やクールタオルに頼りすぎるのは厳禁です。定期的に日陰で休憩し、水分や塩分を補給しましょう。
【冬】重ね着・マスク
冬場は、警備会社からコートや防寒ズボンが支給されます。寒さが十分に防げない場合は、ヒートテックやマスクの着用がおすすめです。加えて、ネックウォーマーや厚手の靴下で、風に触れる部分を少しでも減らしましょう。
注意すべきは、室内外の温度差です。室内の暖房で汗をかいたまま屋外に出ると、体が冷えやすくなります。室内外を行き来する場合は、温度調整がしやすい服装を心がけてください。
冬場の防寒対策については、関連記事でも詳しく解説しています。
警備服をきっちり着て「見せる警備」をしよう!
警備員の服装は、警備業法の規定で定められています。公安委員会に提出された「服装届」の服装を着用しないと、勤務できない決まりです。また、服装の変更にも届出を必要とするため、勝手に服装を変更してはいけません。
警備員として勤務する際は、業務に合った服装・装備を身につけ、清潔感が出るようにしましょう。環境の変化に対応する際は、便利なアイテムを活用してみてください。
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