通行人や一般車両が安全に通行できるように、工事現場などでは警備員が交通誘導をしています。警備員の誘導ミスで交通事故が起こってしまった場合、責任の所在がどこにあるかについては気になるところです。警備員に責任があるのか見ていきましょう。
基本的には運転手の責任
警備員の誘導ミスで交通事故が起こってしまった場合、原則として事故の責任は運転手にあります。というのも、警備員には法的な権限が与えられていないからです。あくまで安全のために「こちらを通行した方が良い」と誘導しているにすぎません。
指示や命令ではないので、運転手や通行人は警備員に従う義務はなく、警備員の誘導がおかしいと感じた時は、自分でどのように運転するかを判断して良いのです。
警備員の交通誘導と似たものに、警察官の交通整理があります。警察官には権限があるため、運転手は指示に従う必要があります。
とはいえ、実際は警備員の誘導を疑うことなく、合図に従って動く運転手がほとんどです。自分の誘導結果が事故につながるかもしれないことを念頭に置き、安全には十分気をつけましょう。
警備員が責任を問われる場合もある
警備員の誘導ミスで交通事故が起こっても、責任は基本的に運転手にあることをお伝えしました。警備員には法律上の権限がないため、刑事責任は問われません。
しかし民事では、運転手と警備員双方に責任を問われます。また、警備会社にも使用者責任があるため、警備会社が訴えられる可能性もあるでしょう。
警備員と運転手の過失割合は、事例によって異なります。具体的に見ていきましょう。
・警備員の不十分な誘導による単独事故
駐車場で起こったポールとの接触事故です。このケースでは、一次的に運転手が車とポールの位置関係を調整すべきであったとして、警備員と運転手の過失割合は3:7と認定されました。
・片側交互通行における工事車両誘導時の衝突事故
このケースでは、片側交互通行の両端に工事用の簡易信号機が設置されていました。誘導員が白旗で工事車両の搬出を誘導していた際、信号機が赤だったにもかかわらず一般車両が白旗を自分への合図と勘違いして高速で走行し事故が起こりました。
運転手による赤信号の見落とし・高速走行などの過失が大きいとして、警備員と運転手の過失割合は1:9になりました。警備員の過失は、信号機のみを信用して安全に十分配慮しなかった点です。
まとめ
警備員の誘導ミスによって交通事故が起こっても、刑事責任は問われません。しかし、民事責任には問われる可能性があります。多くの運転手は、警備員の誘導を信じて従います。十分に安全に配慮して、交通整備を行いましょう。